ループ利尿薬の違い

 

ループ利尿薬とは

尿細管におけるヘンレループ上行系に存在する、Na/K/2Cl共輸送系を阻害することで尿管内浸透圧を上昇させ水の再吸収を阻害し利尿作用を呈する。遠位尿細管のNa/K交感系が二次的に促進され低K血症が起こる。また、ヘンレループにおいて陽子電荷がおおいことからCaイオンの吸収も阻害され低Ca血症も起こる。尿酸値も上がる。近位尿細管にあるNPT4によって尿酸は排泄されるがループ、チアジドはこれを強く阻害するため。

たんぱく結合率がとっても高く糸球体でろ過を受けずに尿細管毛細血管へ到達する。そのため低アルブミン血症では効果が減弱する2.0以下。また尿たんぱくがでているネフローゼや腎障害者に対しても吸着するので効果は弱まる。

 

種類

フロセミド(ルプラック)

 適応;高血圧症、浮腫、月経前緊張症PMS)

用量:フロセミドとして一日一回40~80mg

ルーぷのなかでは唯一高血圧に適応がある。 またPMSにも適応ついている。水分貯留するのが原因らしくてフルイトランにもある。半減期は0.35hrと短く定常状態は存在しない。服用後一時間ほどで効果が出るので大体朝食後で処方される。ただ夕食後で出しても返戻は来ない。BAが10%~100%と個人差がとても大きい

ちょっと前にcopdへのフロセミド末吸入が有効かもって言われてたけどそれは否定されている。

 

アゾセミド(ダイアート)

適応:浮腫

用量:アゾセミドとして30mg1日2回か60mg1日1回

半減期:2.8hr 定常状態は存在しないと思われるがフロセミドより効果時間は長く下記の報告もある。

 

背景:利尿薬は心不全患者に最も多く処方される薬である。しかし、利尿薬の長期的な効果に関する臨床的なエビデンスは不足している。本研究の目的は,慢性心不全(CHF)患者を対象に,フロセミドとアゾセミドという短作動性ループ利尿薬と長時間作動性ループ利尿薬の治療効果を比較することであった。

方法と結果 . この多施設、前向き、無作為化、オープン、盲検エンドポイント試験では、慢性心不全(CHF)とニューヨーク心臓協会クラスIIまたはIIIの症状を有する患者を対象に、アゾセミドとフロセミドの効果を比較した。320 例(各群 160 例,平均年齢 71 歳)を最低 2 年間追跡調査した.主要エンドポイントは、心血管死またはうっ血性HFによる計画外入院の複合値であった。追跡期間中央値35.2ヵ月の間に、主要エンドポイントはアゾセミド群で23例、フロセミド群で34例に発現した(ハザード比[HR]、0.55、95%信頼区間[CI] 0.32-0.95:P=0.03)。副次評価項目であるうっ血性HFの計画外入院や治療の変更の必要性も、アゾセミド群ではフロセミド群に比べて減少した(HR、0.60、95%CI 0.36-0.99:P=0.048)。

結論 . アゾセミドはフロセミドと比較して、心血管疾患による死亡やうっ血性HFの計画外入院のリスクを減少させた。

 PMID 22451450

トラセミド(ルプラック)

適応:浮腫

用量:1日1回4~8mg

半減期は2hrほど反復服用してもパラメータに変化なかったことから定常状態は存在しない。用量依存的な利尿作用を有する(ラット)。
本剤の効力は類薬フロセミドに比較して,利尿作用で約 10~30 倍,抗浮腫作用で約 10 倍強力である。
本剤の血中濃度半減期は約 2 時間で,利尿作用は約 6~8 時間持続する。今日輸送体への親和性が高い?証明はされてない。高アルドステロン作用を持つ。利尿作用が強いので、フロセミド+スピロノラクトンorトラセミドなど使い分けができる。

高齢者に投与しても成人男性とパラメータに変化なくBAも良好、個人差なく使用できる。

 

余談

利尿薬すべてに言えることではあるが、すべて作用機序は同じであり、効くまで増量すれば効果はみな同じになる。長く効かせたいか、電解質異常をきらうかなど要素もあるがフロセミドで効果が出ているならば薬物を変更する必要はないということ。

低ナトリウム血症はチアジドの方が起きやすい

 

 

 

参考資料:利尿薬を使いこなそう TheBasics 日腎モーニングセミナー201

https://www.marianna-kidney.com/wp/wp-content/uploads/2019/06/2012603.pdf