非定型抗精神病薬の特徴
SDA(Serotonin-Dopamine Antagonist)
セロトニンとドパミン受容体を遮断することで陽性、陰性症状をおさえる。
またこのほかにもα受容体やヒスタミン受容体、アセチルコリン受容体などにも社団作用があるためそれによる副作用が発生する。
リスペリドン(リスパダール、コンスタ)
剤形:錠、OD錠、散、内用液、注射
用量:パリぺりドン含めて12mg/日まで
沈静性。もっとも歴史が深く、広い国で使用実績がある。剤形も豊富でTmaxも一時間前後と立ち上がりが早く効果を実感しやすい。内用液は一時間かからず効果発現するがとても苦いため指導必要。またお茶やジュース類と混ぜると含量低下するため水で薄めるよう指導する。
パリペりドン(インヴェガ、ゼプリオン)
剤形:錠、注射
用量:6mg~12mg 5日あけて3mgずつ
用法:朝食後のみ
リスペリドンの活性代謝物。半減期が21時間と長く一日一回の服用で効果がある。またリスペリドンは2D6で代謝されパリペリドンになるため個人差もないことが特徴。OROS製剤で一包化不可であるが90日経過しても顔料低下しないという報告がある。
ベロスピロン(ルーラン)
剤形:錠
用量:4mg開始 維持12mg~48mg
ほかの薬剤に比べてセロトニン5Ht1刺激作用があり抗うつ作用がある。
また半減期が短くせん妄、精神運動興奮状態に使える。就寝前に飲んでも持ち越し効果が少ない。食事の影響を受けやすく空腹時は効果が下がる。
ブロナンセリン(ロナセン)
剤形:錠、貼付剤
用量:4mg開始 8~16mg維持 24mgまで
セロトニン受容体よりもドパミン受容体への選択性が強くDSAとも呼ばれる。またほかのSDAと比べヒスタミン、アセチルコリン受容体への選択性も低いため体重増加や認知機能低下、起立性低血圧の副作用が起きにくいことも特徴。こちらも空腹時に服用するとCmaxなど半減するため食後服用を徹底する。1mgあたりの少量を投与することでD2遮断によるフィードバックが起こりドパミン有利が増加する。これにより抗うつ作用もある。
MALTA(multi-acting-receptor-targeted-antipsychotics)
ドーパミンD2受容体群(D2、D3、D4)、5-HT2受容体、5-HT6受容体、アドレナリンα1、ヒスタミンH1受容体に高い親和性を持っている。そのため血糖値、食欲変動など代謝系の副作用がある。一部禁忌にもなっている。
オランザピン(ジプレキサ)
剤:錠、OD錠、注射、散
用量;5mg~10mg開始 20mgまで
血糖上昇させる恐れがあるため、糖尿病、高血糖によるケトアシドーシス既往患者への投与禁忌
サイディスは一包化不可。1A2で代謝されるためフルボキサミン、喫煙による影響を受ける。
クエチアピン(セロクエル、ビプレッソ)
剤:錠、徐放錠、散
用量:25mg開始 150mg~650mg維持 750mgまで
用法:ビプレッソのみ就寝前 セロクエルは分2~3
血糖上昇させる恐れがあるため、糖尿病、高血糖によるケトアシドーシス既往患者への投与禁忌
半減期が短く、就寝前に分1で服用しても持越しし辛いため不眠に対して25mg一錠など使用されることもある。また血糖値以外の副作用も起きにくいうえ、用量に幅があるため調節しやすい。
アセナピン(シクレスト)
剤:舌下錠
用量:5mg~20mg
MALTAで唯一糖尿病既往患者へ投与可能。ただ血糖上昇SEはあるのでモニター必要あり。舌下にて服用。服用後10分は飲食禁止。
クロザピン(クロザリル)
剤:錠
用量:開始12.5mg 200mg~400mg維持 600mgまで
治療抵抗性の統合失調症のみに適応がある。使用にはクロザリル患者モニタリングサービスへの登録が必要。無顆粒球症、肝機能障害SEが強いため。血糖上昇もある。
DPA(dopamine partial agonist)
DPAはドパミンD2受容体の遮断作用を示しますが、単に遮断作用するだけでなく脳内のドパミン濃度に応じて、作動薬としても作用を示す薬剤です。つまり、DPAはシナプス間におけるドパミンが多い場合は、受容体を遮断薬として作用し、反対にシナプス間のドパミンが少ない場合は作動薬として作用することで、脳内ドパミン濃度のバランスを調整することができます。そうすることによって、黒質線条体系を過度に抑制しないためにEPSは出現しにくくなります。その作用機序から統合失調症だけでなく双極性障害、うつ、認知症にも使われる。
アリピプラゾール(エビリファイ)
剤:錠、OD錠、散、内用液、注射
用量:自閉症には1mgから 統合失調は6mg~12mg開始 12mg~24mg維持 30mgまで
パーシャルアゴニストとして作用するためEPS、PRL異常は起きにくい。αやアセチルコリン受容体、ヒスタミンにも作用するためその他の副作用もあり得る。陰性、陽性症状どちらにも効果がある。セロトニン5HT1刺激作用があるのでうつ病にも用いられる。ドパミンに対する作用が強いため沈静、眠気、食欲低下、焦燥のSeが顕著。内用液はリスパダールと逆で水がダメ。塩素がダメらしい。ジュースは大丈夫。効果はハロペリドールと同等、発現の速さも筋注と同等であるためよく使われる。
ブリクスピプラゾール(レキサルティ)
剤:錠
用量:1mg~2mg
エビリファイに比べてドパミン作用は弱いがセロトニンに対する作用が強い。HT1に対してもアゴニストとして作用するため抗うつ作用もある。低用量だとドパミン、セロトニンの働きを助けるように作用するためうつ、陰性症状の改善に奏効する。高容量だとそれらの抑制系として作用するので躁鬱や陽性症状に使える。