ドパミンアゴニストの違い
麦角系
ドパミン製剤に比べ効力は低いが、消化器SEなど起きにくく、ウェアリングオフも起きにくいため若年者や認知機能低下している患者に使いやすい。
非麦角と比べて眠気や衝動など起きにくいが心臓弁膜症や肺線維症といった重篤な副作用が報告されているためほかの薬で効果不十分なときに使われる。
・カベルゴリン(カバサール)
運動症状の改善、合併症の予防にLdopaよりも有効である。単独でその効果が得られる
半減期65時間と最も長く一日1回服用でいいためコンプライアンス維持されやすい。
D2アゴニスト。
・ブロモクリプチン(パーロデル)
D1D2アゴニスト。運動症状の改善、合併症の予防ではLdopaに比べ有効であるとは言えないため第一選択にはなりえない。また症状侵攻を抑えるための多剤併用療法においても他のDAより有効であるとは言えない。
1日2~3回に分けて服用する。
・ペルゴリド(ペルマックス)
運動症状改善においてはLdopaより有効とは言えないが、合併症予防とウェアリングオフの抑制においては有効である。Ldopa製剤と併用する必要がある。
D1D2アゴニスト。
非麦角系
麦角系に比べ重篤な副作用が起きにくいが、突発性睡眠、衝動抑制障害、強迫性障害、過眠、衝動、病的賭博、病的性欲求など精神的な副作用が多い。衝動制御障害は若い人の方が起きやすい!
・プラミペキソール(ビ・シフロール/ミラペックスLA)
すべてにおいてLdopaよりも有効。通常錠と徐放錠での有効性に違いもなく、剤形変更しても効果に差がない。D2D3受容体に作用するため抗うつ作用あり。こいつが一番SE率が高い
ビ・シフロールは一日3回
・タリペキソール(ドミン)
D2アゴニスト。あんまみない。有効だし副作用もほかのDAに比べて低い。
・ロピニロール(レキップ/レキップCR/ハルロピ)
D1D2D3D4アゴニスト。抗うつ作用あり。有効性もある。SE率プラミペキソールと同じくらい高いので注意。レキップは一日3回。ハルロピは貼付薬ニュープロパッチよりかぶれにくい!
・ロチゴチン(ニュープロパッチ)
貼付薬。1日1回。プラミペキソールとロピニロールよりはSE率低め。すべてのD受容体に作用するのでこれもうつに効く。
かぶれやすいのが弱点!
指導ポイント
・初期は消化器SEでやすいが耐性が付き徐々に良くなってくる
・どちらであっても眠気、突発性睡眠のSEあるため運転などしないよう指導
・病的賭博、衝動抑制障害についてはよく家族にも説明。
大脳基底核とパーキンソン手術療法
大脳基底核とは
運動や情動など人間のなめらかな動きを調節する部位。人など高次生物は皮質からの情報を調節して皮質を通し脊髄へ投射する。
四つで構成されている
② 淡蒼球・・・内節と外節からなる
③ 視床下核
④ 黒質・・・緻密部と網様部からなる
機能
①運動ループ
②眼球運動ループ:眼球運動の制御に働く。
③前頭前野背外側ループ:認知情報やワーキングメモリーを有効に活用し、意思の発動や行動計画、注意、社会行動などの発現に関与する。
④眼窩前頭皮質外側部ループ:③とともに認知情報の評価、情動や感情の表出、意欲などに関与する。
⑤前帯状回ループ:情動や動機付けに関する重要な刺激に反応して運動を開始する。
回路
通常時
アクセルはグルタミン酸、ブレーキはGABA
通常、黒質から投射されたドパミンは線条体の直接回路と間接回路に作用する。
直接回路の受容体はD1(Gsたんぱく)間接回路はD2(Giたんぱく)なのでそれぞれ興奮性と抑制性に作用する。
直接路は、淡蒼球内節、黒質網状層からのGABA分泌を抑えて視床を抑制せず皮質へ運動の信号を投射する。
間接路は、ニューロンを抑えてGABAの分泌を抑えることで淡蒼球外節の興奮を抑えられなくする。抑えられなくなった淡蒼球外節からはGABAがたくさん出るので視床下核は抑制され黒質を興奮させることができない。そのため視床を抑制させられず、運動の増加につながる。
異常時
黒質緻密層からのドパミン遊離が減少することで、直接回路からの抑制が効かなくなり、視床が抑制されることで運動が低下する。
間接回路では抑制性のGABAが増加することで淡蒼球外節の機能が落ち視床下核の抑制が解かれ、グルタミン酸を多く遊離するため黒質網状層淡蒼球内節を興奮させる。それにより視床が抑制され運動は低下する。
以上のように興奮している部位(視床下核、淡蒼球、視床)が手術療法のターゲットになる。
手術療法
レボドパ発見される前まではこちらが主流だった。薬物治療開始後は件数激減したがレボドパ服用開始後5年ほどたつと副作用により増量できなくなりまた手術療法が脚光を浴びた。古くには興奮部位の破壊術が取り入れられていたが現在電気刺激により破壊と同じ効果を得られる脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation: DBS)が主流になっている。
NSAIDSで眠気
NSADISで眩暈出ることがあるかと患者に聞かれた。全然知らなかったけど添付文書観たら書いてあった。
13. 精神神経系(0.1%未満) 頭痛、眠気、めまい、不眠、しびれ
本剤投与中に眠気、めまい、霧視を訴える患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。
ボルタレン 添付文章より
1. 精神神経系
0.1〜1%未満
眠気
12. 精神神経系
0.05%未満
頭痛
13. 精神神経系
頻度不明
しびれ、めまい ロキソニン 添付文章より
浮動性めまい、回転性めまい、傾眠等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。
セレコックス 添付文章より
あるっぽいし運転も注意しろって書いてある。
パーキンソン病とは
パーキンソン病とは
黒質-線条体のドパミン分泌が低下することによりアセチルコリンとのバランスが崩れることによって起こる病態。また腸管におけるアウエルバッハ神経叢(Auerbach plexas)の変性も病初期から認められており、この病気は全身性疾患であると再認識されはじめている。
生活に支障をきたすことが多く完治は難しいが投薬によりQOLの改善が見込める。
運動症状
無動、振戦、姿勢反射障害、筋固縮。痛みを伴うこともある。
非運動症状
消化器症状・・・吐き気、食欲低下、便秘など
自律神経・・・血圧低下、眩暈、頻尿、
精神症状・・・感覚鈍麻、意欲低下、せん妄、認知機能低下、幻覚
睡眠・・・日中過眠、突発性睡眠、不眠、レストレスレッグス
特に認知機能低下、うつ状態はよく見られ、パーキンソン病であることは認知症リスクを高める。
治療
基本的に完治は見込めない。ドパミンアゴニスト、COMT阻害薬、MAO-B阻害薬、ドパミン遊離薬など使用し症状を抑制させることが目標。QOLの維持。
オンオフ・・・効きすぎてジスキネジア、効かな過ぎて症状が出る
ウェアリングオフ・・・効果時間がだんだんと短くなってくる
ディレイドオン・・・効果発現までの時間が遅くなってくる
↑DAだと消化器運動が抑制される。長い期間服用続けていると胃内容物の輸送が弱まったりして小腸での吸収が低下したりする。それで薬の効果が出にくくなることがある。
・Lドパ製剤
ドパミン製剤の発見によりパーキンソン病の治療は大きく変わったそう。Lドパの形で血液脳関門を通過できるがドパ脱炭酸酵素により体内でドパミンに代謝されると通過できない。運動機能症状の改善効果が高いが半減期が短い。そのためオンオフ症状やウェアリングオフ症状が出やすい。消化器SEが顕著。
吸収促進因子
胃酸環境食前空腹時
ドンペリドン、モサプリドの併用
吸収阻害因子
・Lドパ/DCI阻害薬配合錠(ネオドパストン、マドパー)
ドパ脱炭酸酵素を阻害することで脳内移行性を高めた製剤。Lドパの使用量を80%くらい削減できた。そのため消化器Seも激減。5年くらい使用するとウェアリングオフでてきやすい。海外ではCR錠あるらしい。
・Lドパ/DCI阻害薬/COMT阻害薬配合錠(スタレボ)
MAO-B阻害下においてドパの代謝経路はCOMTに限定される。COMTによるドパ代謝物は3-O-methyldopaと呼ばれ半減期16時間と長い。この代謝物は血液脳関門においてLdopaと競合するためCOMT阻害配合薬が開発された。ドパとエンタカポンの半減期は一緒。
・Lドパ+カルビドパ空腸投与用製剤(デュオドーパ)
Lドパの弱点である半減期の短さからくる症状の日ない変動を抑えるための製剤。胃ろうをあけてそこから持続的16時間投与される。デバイスも小さく携帯可能
【レボドパとビタミンB6の併用】
・レボドパ単独だとビタミンB6併用で作用が減弱する
⇒脱炭酸酵素阻害薬を併用すれば問題ない
⇒マドパー、メネシットなどはビタミンB6と併用できる
・ドパミンアゴニスト
ドパミン受容体刺激薬とも呼ばれる。などがある。レボドパ製剤と比較してウェアリングオフやジスキネジアを起こしにくいことから、認知症を伴わない70歳未満の患者については、レボドパではなくこちらを第一選択とすることが推奨されている。幻覚(幻視が主である)などの精神症状が強く出やすいため、認知障害のある患者では投与を避ける。
また麦角系ドパミンアゴニストでは重篤な副作用(心臓弁膜症や間質性肺炎など)を起こすことがわかり、新たに投与を開始する場合はまず非麦角系薬を選択し、治療効果が不充分であったり忍容性に問題があるときのみ麦角系薬を使用することになっている。ただし、非麦角系薬にも突発的睡眠などの副作用がある。また、急に内服を中止すると悪性症候群などの重篤な副作用を引き起こすことがある
・MAOB阻害薬(エフピー/アジレクト/エクフィナ)
いずれの薬剤もプラセボと比較し有効である。エフピーが一番強いらしい。
エクフィナにはグルタミン酸遊離抑制作用もあり、可逆的な阻害
エフピーからの切り替えの時は休薬必要!14日!!!!
エフピーだけ覚せい剤原料→返品できない。
・アマンタジン(シンメトレル)
もともとA型インフルエンザ薬として開発。ドパミン遊離を促進する作用があるから使われている。またグルタミン酸NMDA受容体阻害作用によるものと思われる。運動症状の改善は見られないが、ジスキネジアの予防に効果がある
・イストラデフィリン(ノウリアスト)
新機序をもつ薬。まだ単独療法における盲検試験がないがドパ併用で効果がある。またドパミン依存性じゃないので消化器Seなど起きない。機序はアデノシンA2受容体拮抗作用。A2はGsたんぱく質依存性の受容体で刺激により神経が興奮するため、抑制のためにGABAが分泌されそれが運動障害につながっていると考えられている。
・ゾニサミド(トレリーフ)
てんかん薬としても使用されるが、パーキンソン病にも適応あり。作用機序は解明されていないが、MAO-B阻害作用とT型Caチャネル阻害作用が有名。Caチャネル阻害してるから振戦とか抑えられてる説あり。
てんかん薬としてエクセグランは販売されているが値段がダンチ。
エクセグラン錠100 | トレリーフOD錠50mg | |
薬価 | 25.40円/T | 1449.10円/T |
同用量差 | 25.40円 | 2898.2円 |
同じ要領だと10倍くらい差がある。たっか。
トレリーフとエクセグランの違い
適応症と値段
どちらも有効成分ゾニサミドの製剤。作用機序は謎
T型Caチャネル阻害とMAO-B阻害作用が示唆されている。ほかにもグルタミン酸神経の抑制作用とか、神経保護作用があるらしい。炭酸脱水素酵素阻害作用もあるのでアシドーシスには注意。また発汗減少、脱水SEもある
・エクセグラン
こっちが先に販売された。てんかん薬。
散剤と錠剤が存在する
・トレリーフ
こっちが後からでたパーキンソン病の薬。
普通錠とOD錠がある。
価格差がえぐい
エクセグラン錠100 | トレリーフOD錠50mg | |
薬価 | 25.40円/T | 1449.10円/T |
同用量差 | 25.40円 | 2898.2円 |
10倍も違う。適応外で使わないでねって言われているけど採用なかったり経済的な理由でパーキンソン病でエクセグラン散がでるかも。パーキンソン病は特定疾病だからあまりないかもしれんがホーンアンドイエール分類3以降でしか補助されないから軽度には出る?軽度だったらトレリーフ使わなくない?
アモキシシリンの禁忌
伝染性単核球症患者に対して禁忌
伝染性単核球症とは
・原因
HPVの一種であるEBウイルスによる感染症。多くの人間が幼少期に体内に侵入され、抗体ができているため成人後発症することは少ない。また幼少期に発症しても重症化することは少ないが、成人後発症すると重篤な合併症を引き起こすこともある。
・症状
ウイルス感染してから4週間以上の潜伏期間を経てから症状が現れる。1~2歳の乳幼児が発症しても微熱や扁桃腺の腫れなど症状は軽いが、学童期以降に発症すると重症化しやすい。主な症状は高熱や全身の倦怠感・疲労感、喉の腫れ・痛み、全身のリンパ節の腫れと肥大、発疹など。発熱や喉の痛みなどの症状は1~2週間続き、倦怠感は数週間から数ヵ月にわたって長期間続くケースも。肝臓や脾臓が肥大化しやすくなり、悪化すると破裂することがあるので注意が必要。また、重症化すると気道閉塞や球肺炎、リンパ腫、貪食症候群、無菌性髄膜炎、ギランバレー症候群、心筋炎などさまざまな合併症を併発することがある。
・治療
特異的な治療方法は存在しない。アンピシリン、アモキシシリン等アミノペニシリン系薬剤の投与は発疹SE発現頻度を高める恐れがあるため禁忌である。
余談
ペニシリンアレルギーは有名なアレルギーであるため、結構多くの人が自分に合わない薬だと思ってたりする。アミノペニシリンであれば伝染性単核球症の既往があるかどうか確かめるべき。純粋に過敏症があったのか、EBウイルスによるものかわからない。
また、ペニシリンアレルギーで投与を中止すべきは、蕁麻疹、呼吸困難、ショック等あきらかにアナフィラキシー症状を呈している経験がある者。消化器症状やかゆみのない発疹であればやめるべきではない。
実際一型アレルギーとして発症しているのは全体の5%未満だそうで、免疫は時間をかけると寛容になるため昔あってもいまは大丈夫って人もいる。